以前触れた「3000万語の格差」やっと入手しました。
本の帯に「人生の基礎は3歳までの言葉環境でつくられる」との煽り文句が・・・
3歳まであと半年もない娘の言葉環境は、現在、日本語80%、英語15%、マンダリン5%、といったところでしょうか。この環境がどう娘の将来に影響するのかも気になって、読んでみました。
まあ、●歳までに●●という煽りは大体信じなくていいようなので、あまり気にしないようにしつつ、
いくつか印象深かったことを・・
●「3歳まで」=4歳の直前までのことでした(ズッコケる私)
まず著者は、「小児人工内耳外科医」です。
人工内耳を聴覚障害の子どもに移植するという経験を通じ、保護者の話し言葉の重要性を研究するようになっていったそうです。
先の3歳まで、と言うのは、
3歳の終わりまでに脳の物理的な成長の約85%が終わる、ということと関連するようです。
(※3歳の終わり=4歳の直前なので、うちの娘にはあと1年半程の猶予があることに☆)
人工内耳の移植を受けた時期がわずかに遅いだけで、その後の発達具合に大きな差が出たケースを通じ、3歳の終わり頃までに豊かな言語環境があるかないかで、脳の発達具合が全く違ってくることに著者は気付きます。
で、著者以前に、子どもが聞く言葉の重要性を研究した科学者がいて(ハートとリズリー)、第2章はその紹介です。タイトルもこの研究に由来しています。
この研究によれば、社会経済レベルにより分けた家族グループ群を比較すると、家族の間で話されている言葉の数に大きな差があることが明らかになりました。
一番上のグループでは3歳の終わりまでに4500万語の発語を聞くのに対し、一番下(生活保護世帯)のグループでは、1300万語、ということで、ざっと3200万語の違いがある、という衝撃的な結果が出て、その後の教育政策などにも大きな影響を及ぼしたとのことです。
(※なお、この研究の問題点については、以下ご参照ください
http://kodomoinfo.org/recent_3_20180629.html
ザックリ言うと、たった42家族の調査だったことや、当時研究者が家に来て録音するという方法でリサーチしたので、貧しい家庭は委縮してしまい言葉少なくなりがちに・・、他方上級の家庭では普段より話しまくってしまう、という歪みが生じたようです。デジタル録音機で行われた再調査結果(2017年発表)では、その差は大体
400万語とのこと。)
そして、初期の言葉環境が3歳時のIQにも、さらにその先々の発達にも影響することがわかりました。
ただし、関係するのは単純に言葉の量だけではありません。
1「ダメ」「ストップ」「それ、やめなさい」で始まるやり取りは子とのの言語習得の能力をおさえてしまう。
2 語彙の豊かさも重要
3 家族の会話習慣も重要 親同士があまり話さない家庭では子どももあまり話さない
(↑これは個人的にも、実家に帰るたびに娘がよく喋るようになるなぁと、実感しています)
4 肯定的なフィードバックも重要
5 雑談(ビジネス・トークではない「おまけの話」)も大事・・親子のやり取りのおまけの話に含まれている内容こそが豊かな脳の発達に必要
ところで、肝心の「早期の言葉環境が子供の脳の言語処理能力にとって重要なのはなぜか」という点ですが、
この本で紹介されているファーナルド教授によれば、脳の言語処理速度(既に知っている言葉にどれだけ早くたどり着けるか)が、学習にとって二重の意味で重要だから、とのこと。
鳥の絵と犬の絵を見せて、
「鳥を見てください」
と言われたときに、「鳥」という既に知っている言葉を認識するのに時間がかかってしまうと、それに続く言葉も認識しそこね、学習が難しくなるからです。
分かりやすく説明するために、「多少知っている外国語で会話している時」が例として挙げられていますが、あああ、まさに、香港での私の状況で、頭が痛い・・・
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続きます~